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つらい腰痛・足のしびれ治療の最前線

講師のご紹介

慶應義塾大学医学部
整形外科准教授
千葉 一裕 (ちば かずひろ) 先生

講師略歴

慶應義塾大学医学部卒。米国イリノイ州シカゴRush医科大学留学(Visiting Assistant Professor:整形外科・生化学)。慶應義塾大学医学部専任講師を経て、准教授に就任。慶應義塾大学医学部整形外科教室主任・診療部長。

専門:整形外科、脊椎脊髄外科

開催日 2011年11月29日(火)
会場 新宿住友ビル スカイルーム 47階

 BRBメディカルサロンでは去る2011年11月29日、慶應義塾大学医学部整形外科准教授・
千葉一裕先生を講師にお迎えし、『つらい腰痛・足のしびれ 治療の最前線』をテーマにメディカルセミナーを開催いたしました。以下、その要約をご紹介します。

腰痛は誰にでも起こりうる

 腰痛、足のしびれはとても辛いものですが、人類の8割が一生のうちに最低一度は腰痛を経験するといわれています。厚生統計協会の「国民衛星の動向2005」によると、通院者率(人口千人あたり)では「腰痛」が男女ともに第2位、有訴者率では「腰痛、肩こり」が男女ともに1位、2位となっています。整形外科の初診患者の症状で最も多いのも「腰痛」です。腰痛の原因は多種多様で、外傷や疾病など身体の異常に加え、社会・心理的な影響が大きいこともあり、全体の85%は原因不明といわれています。

腰痛の原因

●脊椎性(いわゆる背骨の病気)
 -機能性(疲労性腰痛、腰部筋々膜炎、急性腰痛症)
 -変性性(加齢によるもの)
 -変形(先天性、加齢によるもの)
 -外傷(腰椎捻挫、圧迫骨折、脱臼骨折、破裂骨折)
 -腫瘍(脊椎腫瘍、脊髄腫瘍)
 -炎症(感染性、非感染性)
 -代謝性(骨粗しょう症、骨軟化症など)
●内臓性
 -消化器疾患(胆石、膵炎など)
 -泌尿器疾患(腎・尿管結石など)
 -婦人科疾患(子宮筋腫、内膜症など)
●血管性
 -大動脈瘤、観測性動脈硬化症など
●心因性

腰痛を起こす代表的な疾患

 背骨の中には「脊柱管」と呼ばれる空間があり、「脊髄・馬尾」などの神経が通っています。加齢などによって椎間板が膨隆したり、靱帯が厚くなったり、骨が変形したりすると脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて「足のしびれ」が起こります。これが脊柱管狭窄症です。腰椎を通る神経の束である「馬尾(ばび)」と馬尾から枝分かれしている「神経根」のどちらが圧迫されているかで、症状の現れ方が異なります。

馬尾型(ばびがた)

主に脊柱管の中央部で馬尾が圧迫され、両下肢に症状が出ます。 痛みよりしびれ、感覚異常が強く出ます。足の痛みやしびれにより長い距離を歩けず、いったん前かがみになって休むとまた歩けるようになる―という間欠跛行が特徴的です。下肢の筋力低下や膀胱直腸障害などを発症することもあります。

神経根型(しんけいこんがた)

脊柱管の外側で主に神経根が圧迫されることによる症状がでます。下肢の痛みが強く、間欠跛行も馬尾型と違い、しびれよりも痛みが強く出ます。通常、左右どちらか神経根が圧迫された側に症状が出ますが、時に両側に出る事もあります。

 

その他、腰痛をきたす代表的な整形外科的疾患としては、腰部椎間板症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などが挙げられます。椎間板は骨と骨の間を繋ぎ、背骨をまっすぐに維持するための支持性や、ある程度の動きを許容する可動性、衝撃吸収などに重要な役割を担いますが、加齢とともに人体の中でも最も早期に変性してしまいます。この椎間板変性によって引き起こされる腰痛は原因の明らかな腰痛の中では最も多いものです。その他にはがんの転移や細菌感染などが原因となって起こる場合もあります。

実は多い非特異的腰痛

腰痛を訴えて整形外科を受診すると、姿勢や歩容などを観察する全身所見をはじめ、弯曲異常や可動性、圧痛などを観察する局所(脊椎)所見、下肢の反射や感覚、筋力を調べる神経所見などの診察を行います。その上で単純X線、MRI、造影検査などによる画像診断を行いますが、最近では腰痛の多くが明らかな器質性病変(外傷や疾病)を伴わない“非特異的腰痛”であることがわかっています。 以前は、腰痛の原因解明のためレントゲン等による画像診断を積極的に行い、加齢性変化があれば椎間板症や変形性脊椎症との診断名を付けて、加齢性変化そのものが腰痛の原因であると見なすことが当たり前でした。しかし現在では、さまざまな基礎・臨床研究の結果、社会・心理的な要素の関与を配慮すべきとの考え方が広がっています。

診療・治療の現在

現在、腰痛症の診断について、全ての例にむやみに原因を探り過度な検査・治療を行うのではなく、そこに潜む重大な脊椎疾患(悪性腫瘍、炎症、骨折、巨大正中ヘルニアなどの馬尾症候群)や神経根症状を見逃さず、症例を選んで適切な治療を行うようになりました。 治療は、、手術療法が中心です。保存療法には安静、薬物療法、コルセットによる装具療法、牽引療法、理学療法、神経ブロックなどの注射療法などがありますが、これらの治療法にも近年変化がみられます。従来は安静にし、とにかく動くべきではないと指導しましたが、現在では無理のない範囲で動き、仕事を含め日常生活に出来るだけ早期に戻ることが大切とされています。 また、慢性非特異的腰痛に対する薬物療法として、従来からの消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、ビタミン剤に加え、オピオイドと呼ばれる麻薬、抗うつ剤や抗けいれん剤も有効として使われています。手術療法でも様々な治療法が開発されましたが、現在では内視鏡下による低侵襲手術が行われるなど、患者さんのQOL(生活の質)を最優先に考えた腰痛治療が標準となっています。

※記事の文責はBRBメディカルサロンにあります。

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本件に関するお問い合わせ先:

BRBメディカルサロン 担当:企画推進室 広報
Tel:03-3343-4511 Fax:03-3343-5845
E-mail:info-medical@brb.co.jp

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