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癌研明病院名誉院長 |
<武藤先生のコメント>
宇津木先生は、患者さんの評判からもよく患者さんの心をつかんでいることがわかります。仕事を任せておける、プロとしてしっかりた人ですね。ボランティア活動にも積極的に携わり、「帽子クラブ」や「アロマテラピー」を開設し、医療に関する周辺領域にも細かく目を配り、全人的な医療を行っています。更にリンパ浮腫の方々のマッサージ室をオープンする予定もあるそうです。今後も今の活動を続けて、患者さんのニーズをくみ取り応えていってもらいたいです。日頃の宇津木先生は、笑顔がステキで、キャリアウーマンとしてテキパキ仕事をこなしています。フェミニンでしっかりバランスが取れているこれこそ女医さんのあるべき姿!だと思います。これから若い女医さんの模範になって後輩を育ててもらいたいですね。
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癌研有明病院 婦人科医長 |
<略歴>
山形大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院に勤務。1989年米国ベイラー医科大学留学。その後山形大学医学部附属病院を経て、1994年から癌研究会附属病院に勤務。現在癌研有明病院婦人科医長を務める。
日本産科婦人科学会専門医、細胞診専門医、国際細胞診指導医、婦人科腫瘍専門医、がん治療認定医、日本臨床細胞学会評議員、婦人科腫瘍学会評議員、など兼任。
| 著書 | |
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「子宮がん・卵巣がんとともに生きる -16人の女性と家族のストーリー-」 保健同人社出版 |
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「子宮がん・卵巣がんは手術でなおす -術後534人の暮らし方-」 講談社出版 |
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NEW 2008年12月12日(金)発売 「子宮がん・卵巣がんの治療法と術後の暮らし方」 イカロス出版 |
Q1)
癌研有明病院の位置付けや特徴を教えて下さい。
A1)
癌研有明病院の歴史は古く今年で100周年を迎えました。日本で初めて設立されたがん専門病院であり、日本のがん研究と治療を常にリードし世界的にも高い評価を得ています。
当院の特徴は、優れた医療スタッフの布陣、最新の医療設備、そしてがん研究所と連携した臨床研究によって新しい治療法の開発にも積極的に取り組んでいる点です。
さらに患者さんを中心に専門家たちが集合し、当院最高の診断・治療機能が発揮されるようシステムが整っているのも特徴です。かつては、各診療科別に診断・治療を行っていました。しかしがん治療は、外科、内科、化学療法科、放射線科など、患者さんが複数の診療科にかかる必要が多くあります。当院では患者さんを全ての面から支援するキャンサーボード(※1)が稼動し、患者さん1人に対して、各専門科の医師らが統括的に治療法を討議しています。また、科別ではなく部門別に、診断部、治療部、手術部などを構築することで、それぞれの専門科別の医師たちが互いに専門性や意見を生かし合え、患者さんにとって最も有益な治療が実施できます。看護師に関しても乳がん看護認定看護師や緩和ケア認定看護師など、特化した資格を所有した看護師を抱えています。
(※1)キャンサーボード
外科、内科、化学療法科、放射線科など専門領域の複数の医師が一堂に会し、1人の患者さんの治療法を討議する場、またそのシステムのこと。
Q2)
レディースセンターの特徴、推奨している内容を教えて下さい。
A2)
当院は700床を備えていますが、そのうちレディースセンターは138床(乳腺科46床・婦人科92床)を占めます。患者数は婦人科・乳腺科ともに日本一です。以前から両科は、がんの誘発原因が女性ホルモン関連因子で共通していることから、患者さんの治療後の後遺症や合併症の管理などを相互に協力してきました。同センターは、女性特有のがんに加えそれによる身体的・精神的問題など女性が抱える問題を婦人科・乳腺科にこだわらず、多面的に研究・解明することを目的に設立されました。施設環境も両科の外来を隣り合わせ、入院病棟もまとめるなど、女性だけの寛ぎ、快適さの共有、治療にあたっての身体的・精神的配慮を行うことを心がけています。また必要に応じて放射線科や化学療法科などの各専門科医師をブースに呼び、患者さんへの説明・治療を行っています。そのためレディースセンターの中で完結でき、患者さんは診療科を渡り歩く必要がありません。
Q3)
同センターを利用される患者さんの特徴を教えて下さい。
A3)
患者さんの受診ケースで最も多いのは、他病院の検診や検査で細胞診の結果に異常がある場合です。その多くは、まだがんになっていない前がん状態の方です。
例えば、昨年の子宮頸がんの患者さんは約200名でした。その半数の約100名が0期の状態です。その他、予備軍と言われる異形成の方々が3ヶ月に1回のフォローなどを行っています。また、HPV(ヒトパピローマウィルス)検査を受ける方が多いです。
進行がんの患者さんの多くは他の病院からの紹介で受診されます。またセカンドオピニオンを希望し受診される方もいらっしゃいます。セカンドオピニオンの原則はまた元の病院へ戻ること、治療の途中から病院を替わることは難しいといえます。ただし、今まで治療を行っていた病院ではできない治療が当院ならできる、あるいは前医では必要機器がないなどの場合は転院を受け入れています。
Q4)
医師を、また婦人科医を志した理由を教えてください。
A4)
地元の山形大学に医学部が開設され、その活躍を見て育ちました。私自身も、責任がありやりがいのある仕事に憧れていたので同医学部を受験しました。興味があった英文学部なども受けましたが、第一志望だった医学部に受かったので入学しました。
婦人科を選んだ理由は、診断から治療まで内科も外科も含め全て行う点に惹かれました。また現実的に、脳外科や心臓外科などの手術は10時間以上かかるケースもありますが、婦人科の手術は通常5~6時間以内ですので、体力面でもこなせると思いました。
Q5)
婦人科医としての喜びや誇りを感じる瞬間はどんな時ですか。
A5)
たくさんありますよ。中でも、がんが非常に進行していた患者さんが、治療を通して健康を取り戻され、元気な姿を見た時ですね。あとは他の病院で余命3ヶ月と言われた方が、同センターで治療し5年、10年と生きている場合があるのは当院と私の誇りですね。
具体的に言うと、例えば卵巣がんが広がっていて、手術では全部取りきれず、抗がん剤治療を行う。その経過が良く、二回目の手術を施行し、がんが全て取り切れた。そして再発することが多い2・3年目をクリアし、5年経過すればほぼ治ったと言えます。こういった難しい治療は、長い年月がかかりますが、治っていかれる経過とともに喜びは大きくなりますね。
患者さんに限らず、周囲のご家族などが喜ばれることも嬉しく思います。あと実は、他の医師の患者さんから、相談を受けることもあったりして、話しやすいキャラクターなのでしょうか。そういった患者さんとのコミュニケーションも楽しく思います。
医師としては臨床だけでなく、研究や論文それらの発表も行っています。癌研有明病院の「帽子クラブ(※2)」ボランティアのリーダーを努め、更に当院にリンパ浮腫(※3)の治療室設立を計画し、中心的に動いています。使命感と言うのでしょうか、自分がやらなくてはいけないと思いますし、新しいことにやりがいを感じています。
(※2)帽子クラブ
化学療法中の患者さんを対象に、治療中の帽子の作り方 や美容についてのアドバイスを行っている。宇津木医師 を中心にした癌研有明病院のボランティア活動。
(※3)リンパ浮腫
がんの手術でわきの下や足のつけ根のリンパ節を切除したり、放射線治療によりリンパ管が細くなったり、途切れたりすることでリンパの流れが悪くなり、リンパ液が皮下にたまる状態。
Q6)
婦人科医で苦労されたことは何でしょうか。
A6)
そうですね。がんの告知に関して、告知をしな いで欲しいという患者さんがいらっしゃいます。 これは非常に難しい問題です。患者さんがご自身 の人生を全うするために、ご自身の病状を知り、 そのなかで一番ベストな道を選ぶことが大切だと 思うのです。「死生観」を持つ、死を考えることは、 希望を捨てるのではなく、生を考えることでは ないでしょうか。
また、現在病院が混み合っており手術が2ヵ月待ちといった状況です。病院側は精一杯のことしてもそれだけの時間が必要なのです。検診を行うなど、ご自身で常に健康管理を行って頂き、早めの受診をおすすめします。
Q7)
医師というハードなお仕事を乗り越えていかれる秘訣は何でしょうか。
A7)
一番は夫の協力ですね!本当に感謝しています。私たち夫婦は、お互いがフルに働いていますから、協力無くしては仕事との両立は出来ません。また男の子3人(小学生2人と中学生1人)がいますので朝から大忙し。夫が子供のお弁当を作っていれば、私は洗濯をするなど、互いに協力し合える関係が何よりの秘訣ですね。
Q8)
ご趣味と最近気になっている事があれば教えて下さい。
A8)
旅行が大好きですね。今年は夏休みに家族5人でアメリカを旅行しました。グランドサークルを周りましたが、畏敬の念を抱かせるような自然の美しさでした。
物では、コーヒーカップが好きで集めています。コーヒーを飲む時に、その日の気分でカップを選ぶのも楽しみの一つです。最近欲しいなと思っているカップは、ヘレンドの金魚が描かれているカップ。自分へのご褒美に、いつか購入したいと思っているんです。 更に言うと、コーヒーカップは模様だけじゃないですよ。形でも美味しい形がある。飲み口、陶器の透明感なども選ぶ基準になりますね。観賞用として美しいと思うのはデミタスカップです。
無理はしなくて良いと思うんです。全てを完璧にこなそうと思わず、出来るところをやればいい。私は産前6週、産後8週を休みましたが、それ以外はずっと働いています。でもそれは私だけの力で成しえたのではありません。子供が熱を出したらお姑さんが出てきてくれたり、山形からも私の親が来てくれたりと周りの協力があったからこそ。代わりがきかなくて自分にしか出来ないこと、代用がきくことがあります。今自分にとってどちらが大切かを常に天秤にかけて、その時に一番大切なものをとっていいんじゃないかと思います。
企画推進室 広報より
一般の会社員でさえ家庭と仕事の両立が難しい中、医師というハードな仕事を務められる宇津木先生。その話し振りから、婦人科医としての使命を切実に感じていらっしゃるお姿が覗えました。近頃、医師や病院が批判され医療に対してマイナスのイメージを持っている方が多いと思います。しかし今回先生を取材し、当直明けの診察に手術、否応なくデスクには患者さんの保険書類が山積み。それでも医師として働くことに正面から向きあう姿を拝見し、心より敬服いたしました。また女性であれば自分が婦人科系の病気になった時、ぜひ先生に看てもらいたいと思うようなお人柄。先生が患者さんや同僚の医師からよく相談を受けるとおっしゃられたことが納得できます。
宇津木先生、当直明けにも拘らず、遅い時間にインタビューのご協力を頂き心より御礼申し上げます。
宇津木先生が婦人科医長として務められる、癌研有明病院婦人科(レディースセンター)はこちら(http://www.jfcr.or.jp/hospital/medical/clinic/ladies.html)