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放射線医学総合研究所理事 |
<略歴>
1968年北海道大学医学部卒業。同大医学部放射線科助教授、筑波大学臨床医学系教授を経て、1994年放医研重粒子医科学センター病院長、2003年同センター長、2008年から現職。2004年日本放射線腫瘍学会長。
専門は放射線腫瘍学。
<辻井先生のコメント>
岸本先生は、何と言っても画像診断医としての実力は折り紙付きです。持ち前の努力と留学の経験を活かして診療に励んでおり、医師仲間や放射線技師からも深く信頼されております。重粒子線治療のための症例検討会では、治療計画のために必要なアドバイスを適切に与えてくれます。性格は温厚で、非常に女性らしいきめ細やかさを持っている一方で、サバサバしている部分もあり、男性医師の中にあっても全く違和感なく仕事をこなしています。最近、後輩が赴任してきましたので、ぜひ楽しい職場にして欲しいものです。
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独立行政法人 放射線医学総合研究所 |
<略歴>
1988年北海道大学医学部卒業。1996年米国Tulane Medical Center留学。1999年より北海道大学医学部付属病院助手を経て、2002年より現職。
日本医学放射線学会放射線科専門医。
Q1)
放医研の位置付けや特徴を教えて下さい。
A1)
放射線の人体への影響や障害、放射線を用いた診断や治療に関してなど、総合的な研究開発を行う国内唯一の医療機関です。緊急被爆の際に対応する重要な医療施設としての役割も担い、1999年の東海村臨海事故では被爆者及び地域住民の治療や放射線の汚染確認、その後の研究などを行いました。
Q2
重粒子医科学センター病院の特徴を教えて下さい。
A2)
放医研では、研究開発業務はもとより管理部門、基盤技術部門まで複数の組織で構成されています。その中の一つ重粒子医科学センター病院は、放射線の中でも「重粒子線」を用いて医療行為を行う施設です。1993年に重粒子線がん治療装置であるHIMAC(ハイマック)棟が作られ、翌年から重粒子線を用いた臨床研究を開始しました。2003年に重粒子線治療の一部が先進医療に認定されたため、その治療に関しては有料となりました。
Q3)
同センターを利用される患者さんの特徴を教えて下さい。
A3)
重粒子線治療は主に通常の放射線では効果が少ないがんや肉腫が対象となっているので、そういった病気を患う方が来院されます。具体的な適応疾患についてはホームページで紹介しています。
傾向として、前立腺がんの患者さんはご自身で調べて来院されるインテリでエネルギッシュな患者さんが多いです。その他、肺がんや手術で取ることが難しい頭頸部がんや骨軟部腫瘍、侵襲の多いご高齢の患者さんなどがいらっしゃいます。逆に、照射で穴が開いてしまう危険性の高い腸管がんなどは少なく、他の治療方法が確立されている乳がんも現在は適応外なのでいらっしゃいません。
年齢別では、他の治療法がない場合に限り中学生位から適応となりますが、比較的年配の方が多いです。また、重粒子線の治療施設は数少ないので、世界各国から調べてこられる患者さんがいらっしゃいます。
Q4)
画像診断室の役割を教えて下さい。
A4)
診断室では治療を行うための診断を行います。ただし、当院を受診する患者さんは、既に診断がついている方がほとんどなので、私たちの主な仕事は適応を決めることです。重粒子線治療は局所療法で、基本的に転移があると行えないため、転移がないかをまず確認し、その後腫瘍の大きさ、照射範囲、角度を検討し決定します。また、照射治療後には、治療効果の確認などのフォローアップも行います。
ただし、私たちの施設は研究所であるため、臨床だけでなく研究も同等に行うべき大切な役目です。
Q5)
重粒子線治療のための画像診断における特徴はありますか。
A5)
一般的にCTやX線検査で被爆を気にすることがありますが、重粒子線治療を行う場合はその照射の放射線量がはるかに多いため、診断の放射線量は比較的気にすることはありません。照射後の放射線肺炎、脳炎、骨炎などの副作用に関しては注意深く観察します(障害を少なくするのは治療医の仕事なので診断には無関係です)。また、造影剤は副作用が起こる可能性があり全国的に使わない傾向なのですが、重粒子線治療は1ミリ単位で照射範囲を調整しますので、より診断を精密に行うために基本的には造影剤を使って検査を行うようにしています。
Q6)
被爆国である日本人ならではと思われる患者さんの質問はありますか。
A6)
被爆を気にされる方はいらっしゃいますが、それは日本人だけに限りません。それよりも、遠方から来られる患者さんが多いので、1日に検査をまとめて行うことがあるのですが、「CTやMRI、注射など多くの検査を行っても問題がないか」といった質問がよくあります。基本的に人体に大きな影響はありませんが、検査費の保険適応が一部出来なくなる場合もあり、費用が高くなるので、出来る限り日を分けて行うようにしています。
Q7)
放医研は「PET装置」を開発されたそうですが、その経緯を教えて下さい。
A7)
放医研では以前から、PET診断に必要な放射線薬剤の製造はサイクロトロンを用 いて行っており、PET装置の開発研究も世界に先駆けて行ってきましたので、 PET装置による的確ながんの診断が可能となる基盤が整っていたと言えます。その ような経緯がありましたので、重粒子線がん治療装置であるHIMAC が備わったこ とで、的確ながんの診断と治療が可能となった訳です。
Q8)
医師をまた放射線科医を志した理由を教えて下さい。
A8
父と兄が医者だったという環境もありましたが、医者を目指したというより、医学を学びたいと思い医学部に進みました。また、勉強したことを仕事で生かしたいとも思っていました。卒業する際に、結婚を予定しており、自分と相手の実家が離れているため、親にサポートしてもらうことは難しい環境でした。そのため、メジャーな科では仕事と私生活の両立は難しいと考えていたところ、当時MRIの導入が始まった頃で、機器への期待と注目が集まっていたこともあり興味を持ち、マイナーではあるけれど全身を診られる放射線科を選びました。
Q9)
日本では放射線科医が少ないそうですが、その中でも最先端の医療現場に携わる専門医としての喜びや誇り、また今後の抱負を教えて下さい。
A9)
診断医は患者さんを直接治すわけではないので、治療を行う先生の手助けになるように診断を行っています。私は働く環境に恵まれていて、自分の子供が幼かった時は当直を外してもらうなどのサポートがあったので、仕事と私生活の両立ができました。今、放射線科はインターネットを使って読影が行えるような新しい時代に入りました。これからの女性医師でお子さんがいる方々にとっても、幅広く活躍できる専門科の一つだと思います。
放医研は重粒子線治療の世界一の成績を出している施設なので、その治験結果を伝えることは使命だと思っています。また、重粒子線に限らず今後新しい診断方法の研究もしていきたいと思っています。
Q10)
休日の過ごし方やリラックス方法を教えて下さい。
A10)
実は、平日より休日の方が忙しいです。子供は高校生なので手はかからないのですが、休日は家事だけでなく、学会や当直などもあるので慌しいです。でもそういったことが気分転換になっていると思います。旅行や映画鑑賞など、家族と過ごすことが一番のリラックスですね。
お子様が幼い場合など、周囲に甘えるべき時は甘えていいと思います。サポートしてもらった末に、仕事を辞めてしまう人もいます。過酷な職場環境で仕事と家庭のバランスを考えると、共感する部分もありますが、まずは無理をしない程度に継続して社会に恩返しをすることが大切なのではないでしょうか。私も、今までサポートしてくださった上司や職場の同僚の恩を忘れず、次の世代に返して行くという責任感を持って今後も働き続けたいと思っています。
企画推進室 広報より
年々、女性医師は増加していますが、職場環境が整備されていないために、妊娠、出産、育児を機に離職する方もいらっしゃると聞きます。岸本先生は「環境に恵まれていた」とおっしゃられていましたが、すべての職場がそうであって欲しいと皆が願っているのではないでしょうか。サポートしてもらった恩を後世に返すという責任感を持って働かれている岸本先生。女性ならではのしなやかな感性や温厚さに同じ女性として共感いたしました。自分の人生設計を見失わず、立ち位置を見極めて仕事と私生活のバランスを保ちながら働く。まさに現代の働く女性の理想ではないでしょうか。